「松ヤニ」とは?投手が使うと投げるボールはどうなる?
松ヤニ(松脂)とは松の木から染み出る天然の樹脂のことです。
野球では滑り止めとしてバットに塗ったり、スプレーで吹き付けるのが一般的でバッターの利用は認められています。
しかし、投手が体やグラブ、ユニフォーム、ボールそのもの等に松ヤニを塗るのは禁止されています。
投手は滑り止めとして「ロジンバック」を使わなければなりません。
「ロジンバック」とは、投手がマウンドで白い袋のようなものをポンポンと手に持ってるあの袋のこと。
「ロジン」とは松ヤニの成分の名称で、ここでも松ヤニが使われているのです。
バッターの松ヤニ利用はOK、一方投手はNGというのがメジャーでも日本でも共通のルールとなっています。
メジャーリーグでは「松ヤニ」を使うのが暗黙の了解?
ロジンバックよりも松ヤニの方がグリップが効いて(ボールが滑らない)効果が高いとされています。
投手にとっては「コントロール」だけでなく、さらに「変化球のキレ」の向上が見込めるため、メジャーではバレないように使っている投手が多いと言われています。
一方、打者にとってもボールが抜けて体に当たるのを防ぐため、利用を問題なしと考えるのが一般的。
いわば「暗黙の了解」となっていますが、規則上禁止となっているため、あからさまに使うのはNGです。
かつて、ヤンキースのマイケル・ピネダ投手が首筋に松ヤニを付け、この結果不正投球で退場処分となったことがありました。
その際には「投手の松ヤニ使用を認めるようルールを改正すべき」という意見も出ました。
しかし、松ヤニ利用OKとすると「量はどれくらいまでOKか?」など他の問題も出てくるので、今のように「ほどほどに、バレないように」ということで落ち着いているようです。
日本の投手も松ヤニを利用している?
日本ではどうでしょうか?
「日本の投手も松ヤニを使っているのか」という、問いに田中将大投手(ヤンキース)は「日本のボールは小さく、湿度が高いので必要ない」と言っています。
確かにメジャー中継では投手が投球動作に入る前に利き手をベロッと舐めるシーンを見ますが、日本では見かけません。
メジャーのボールは滑りやすい素材でできているものの、日本のボールは滑りにくいことも理由の一つでしょう。
また松ヤニを使うことは、いいことばかりではありません。
ボールに引っかかる力が強くなるため、投げる瞬間にボールを抜いて投げる球種(フォーク等)には適さないとされます。
そのため(当然ですが)、メジャーでも全ての投手が利用している訳ではありません。
投げる瞬間の手と指の感覚、力量は非常に繊細なもので、各投手がそれぞれ自分にあった方法を模索しながらピッチングをしているのです。