プロ野球のFAとプロテクトについて分かりやすく解説
毎年オフシーズンになるとメディアを賑わすFA(フリーエージェント)
ファンにとっては応援するチームの主力選手がFA宣言するのでは?とハラハラするのが恒例となっています。
FAとはザックリいうと「プロ野球選手が他球団と自由に契約交渉できる制度」ですが、ここではもう少し掘り下げて重要ポイントを解説します。
「国内FA」と「海外FA」の2通りある
まず、FAには国内FAと海外FAの2通りあることを理解しましょう。
- 国内FA・・日本のプロ野球全球団と交渉・契約できる権利。取得には8シーズン必要。
- 海外FA・・日本のプロ野球だけでなく、メジャーなど海外のチームとも交渉・契約できる権利。取得には9シーズン必要。
FA権を獲得する条件の「シーズン」とは1シーズン145日の出場選手登録(一軍)が条件となります。
1シーズン145日に満たない場合は、他シーズンの登録日を合算し、145日になった場合は1シーズンとしてカウントされます。
仮に高卒の選手がプロ1年目から試合出場を続けた場合、最短で26才頃に国内FA権利を取得することに。
そして、選手がFA権を行使することを「FA宣言」といい、日本シリーズ終了から7日営業日以内に宣言しなければなりません。
FAで移籍すると「金銭補償」「人的補償」が発生する

選手がFAにて他球団に移籍すると、選手を獲得した新球団は旧球団に対しての「補償」が発生します。
補償の内容はFAをした選手の旧球団時の年棒によるランクによりA,B,Cにランク付けされます。
そのランク付けは以下の通り。
- Aランク・・年俸上位1位~3位(外国人選手除く)
- Bランク・・年俸上位4位~10位(外国人選手除く)
- Cランク・・年俸11位以下(外国人選手除く)
そして、補償内容は移籍した選手のランクにより「人」と「お金」で補償します。
- Aランク・・「人 +(旧球団)年俸50%の金銭」or「年俸80%の金銭」
- Bランク・・「人 +(旧球団)年俸40%の金銭」or「年俸60%の金銭」
- Cランク・・補償なし
仮に日本人選手の中で年棒No.1の選手(Aランク)がFAで他球団に移籍した場合を考えてみましょう。
この場合、移籍先の新球団は旧球団に対し「選手+お金(年棒50%分)」か「お金(年棒80%分)」を補償する必要があります。
新球団が「選手+お金(年棒50%分)」を選んだ場合、旧球団はFA契約が公示された日から「40日以内」に獲得する選手を選び、新球団に対して回答しなければなりません。
また、FAで選手を獲得した球団の人的補償ですが、これは全ての選手から選んでOKではありません。
FA選手を獲得した球団が人的補償での流出を避けるために選ぶ選手が「プロテクト」です。
FA制度の「プロテクト」とは?
前述のように、FAした選手に対する補償として「人(人的補償)」があります。
しかし、FAした選手を獲得した球団は「28名」の選手を「プロテクト」として、人的補償の対象外とすることができます。
つまり、プロテクトされた選手はFAの補償として選ばれることはありません。
旧球団からすると「リスト漏れ」になった選手から人的補償の選手を選ぶことになります。
FAの時に話題になるのが、この28名の選手である「プロテクトリスト」
プロテクトリストは非公開ですが、チームから出て行っては困る主力や生え抜き、人気選手がリストに載ります。
逆に成績が低迷した選手などは「リスト漏れかも?」と心配になることもあるでしょう。
2018年オフには広島→巨人に入った丸佳浩に対する人的補償として長野久義、西武→巨人入りした炭谷銀仁朗の補償は内海哲也となりました。
このように誰がFAするのか?しないのか?だけでなく、誰がプロテクトから漏れて人的補償に選ばれるのかも毎回大きな注目を集めるのです。
